茨城のうるし

漆の歴史

漆の歴史はとても古く、約9,000年前の縄文時代前期の遺跡から漆器が出土しています。
茨城県では、江戸時代に水戸藩二代藩主徳川光圀が漆を奨励したことがはじまりとも言われており、現在では、主に常陸大宮市内と大子町内の里山で漆が採取でき、常陸太田市内では漆の木の植栽がはじまっています。

高品質な漆

茨城県産の漆は岩手県に次いで全国2位の生産量を誇り、透明度が高く、光沢が良く、乾きが早くて伸ばしやすいことから、その品質の高さは全国的に高く評価されており、筑西市在住の人間国宝である大西勲氏や有名な漆器産地に供給されています。

また、昭和30年代には生産量日本一だったこともあり、石川県や福井県などからも漆を採取する「漆搔き職人」が出稼ぎにきていたこともあったそうです。
実は・・・ 県北山間地域は、和紙の原材料の楮(こうぞ)の生産地でもあり、漆と同様、その品質の高さは全国的に広く知られています。
ユネスコ無形文化遺産に登録された「和紙:日本の手漉和紙技術」の本美濃和紙にも使われています。
県北山間地域の寒暖差の大きい気候や地質が漆や楮の栽培に適しているのかもしれません。

~ 漆の採り方 ~

漆とは漆の木から採取される樹液をいいます。 漆を採取するには、植栽してから10年以上を要し、育てるのに多くの手入れが必要な樹木です。採取方法は、漆の木に「掻きカマ」と呼ばれる道具で一定の間隔で傷を付け、にじみ出る白い樹液をヘラでかき集めます。

採取時期は、6月中旬から10月初旬までで、特に真夏の暑い日の朝夕が漆の出が良いと言われます。1本の木から採れる漆は牛乳瓶1本程度(120~180グラム)で、一度採取が終わると漆の木は伐採してしまいます。

つまり、漆は、10年以上かけて育て、わずかな量を採取し、採取が終われば伐採するという、大変時間と手間のかかる貴重な天然素材なのです。

漆を取り巻く情勢

漆の国内需要は日本人の生活様式の変化による漆器産業の減少等もあり、近年では約40~50tとなっています。このうち国産漆の生産量は約1tで、自給率は僅か2.3%(97.7%が中国等からの輸入)となっています。

こうした中、平成27年2月に、文化庁において国宝・重要文化財の修繕には、原則国産漆を使用することを決定し、当面、上塗りと中塗りを国産漆とし、平成30年度を目途に下地までその対象とすることとしたことから、今後、国産漆の需要拡大が見込まれます。
一方、本県では、今後、漆の木が減少することが見込まれ、また、漆搔き職人の高齢化も進んでいることから、漆の安定供給に向けて植栽支援と後継者を確保していくことが喫緊の課題となっています。

漆を次世代に残す取組み

県北山間地域で長年、漆の伝統と歴史を守り・受け継いできた方たちの尽力もあって、近年、少しずつではありますが、漆を次世代につないでいこうという機運が高まっています。

常陸大宮市周辺では主にNPO法人壱木呂の会と奥久慈うるし振興会が、大子町内ではNPO法人麗潤館と大子漆保存会がそれぞれ漆の木の植栽に取り組んでいます。
また、平成27年11月13日のうるしの日には、県北山間地域で漆に携わるみなさんが一堂に会した「うるしの日フェスタ2015」が初めて開催されました。
当日は、漆搔き体験や摺り漆体験ワークショップ等が開催され、県内外から多くの方が来場されました。

県においても、県北中山間の地域資源・伝統文化である漆を次世代に残していくため、地域の方々と連携しながら、漆の木の植栽支援をはじめ、漆の生産から漆器製作までの一連の技術を習得できる本地域の強みを活かした、技術習得プログラムを展開し、漆搔き等の技術の伝承に取り組んでいます。

漆の木の植栽経費の補助を受けたい方はこちら
 (茨城県 農林水産部 林政課)

移住・ニ地域居住者にインタビュー

漆掻き 岡 慶一さん

大子町に移住し、「うるし」と向き合う

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漆芸家 菊池 麦彦さん

MUM-urushiproducts

さいたま市と常陸太田市の工房を往復しながら、
漆器制作や漆の木の生育に取り組む。

インタビューページへ



漆に触れる

茨城県内や茨城県にゆかりのある団体等では、漆塗り教室や漆の木の植栽など漆の振興に取り組んでいます。また、本県城里町粟では日本三春慶の一つに数えられる伝統の漆工芸「粟野春慶塗」の技術が守り継がれています。


●茨城県内
NPO法人壱木呂の会・会員等向けの漆の販売や漆の木の植栽等に取り組んでいます。
ウェアウッドワーク
(大子漆八溝塗器而庵)
・大子町の器而庵で漆器を購入できます。
・漆搔き職人等の後継者育成にも取り組んでいます。
奥久慈漆生産組合 ・常陸大宮市内を中心に漆の苗木育成や植栽、漆の生産に取り組んでいます。
大子工芸くらぶ・漆工実技研修会等を開催しています。
大子漆保存会・大子町内を中心に、漆の苗木育成や植栽に取り組んでいます。
優巧会・木地づくり研修等を開催しています。
山方漆ソサエティー・地元産の漆にこだわった漆教室を開催し、定期的に展示会を実施しています。
NPO法人麗潤館・毎月の摺り漆教室開催や漆の木の植栽に取り組んでいます。
・漆搔き職人等の後継者育成にも取り組んでいます。
※リンクがない団体の活動等について興味がある方は、
 茨城県農林水産部林政課(029-301-4026)にお問い合わせください。

●首都圏
漆工芸荻房
(東京都杉並区)
・本県で自ら漆を生産し,その漆を使用した漆器を製作しています。
・漆教室を開催しています。
MUM-urushiproducts
(さいたま市)
・本県の漆を使用して漆器やアクセサリーを制作しています。
・金継ぎ教室やうるし教室を開催しています。

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